爪を切り忘れた。
爪が伸びたのを感じて切ろうと思ったのは数日前。
切ってしばらくはなんとも思わないが
爪が伸びたと感じてしまってからは
己の爪の伸び具合が毎日気になって仕方がない。
物事は日々少しずつ変化していることを突きつけられるような感覚。
時間の流れの無情を感じる時。
今日も切り忘れた。
否、本当は気づいていたのに面倒くさくて切らなかっただけだ。
面倒くさい。
このような小さな選択の積み重ねが
怠け者な自分という人間性を形成し
大きな選択に迫られても
面倒くさいが癖になって
重くなった腰をあげることができずにいるのだろう。
もはや自分に出来ることから少しずつ変えていこうということすら難しくなっていたことに気づく。
ひと通り思いを巡らせ、未来を憂いたところで思考は終了し、
やはり面倒くさいという理由から
これまでやってきた日常を惰性で生きていくことを知らず知らずのうちに今日も選択するのだった。